アイルランドvsスコットランド
SIX NATIONS RUGBY 先週はアイルランド対スコットランドでした。結果は、22-13でアイルランド。
昨年全勝優勝、世界ランキング2位のスコットランドが勝利したのでした。
今年はラグビーワールドカップ。日本は予選ラウンドでこの2か国と対戦します。
去年の今頃、僕はイギリス&アイルランドにいました。
某施設の視察のため、ロンドンも視察する本体に遅れること3日、アイルランド・ダブリンで合流するため、一人遅れて出発。
僕はロンドンは2回行っているし、視察対象の施設も見たことが有るのでロンドンはパスしました。
金曜日のフライトで羽田-ロンドンヒースロー、ヒースローからはエアリンガスというアイルランドのリージョンジェットで。
♬北京・ベルリン・ダブリン・リベリア・束になって~輪~になって~等と心の中でリフレインしていると
機内がやけに騒がしい。束になって騒いでる。
しかもみんな赤い服を着て、中にはでっかい赤い帽子をかぶっている人も。
まるで修学旅行のバスの車内。みんなで歌いだすわ。エールや拍手。
隣の人に、何が起こったんだ?
ウェールズさ。明日はアイルランドとのラグビーがあるのさ。
SIX NATIONS? そう。
写真撮っておけば良かった。
楽しいフライトを満喫したのでした。
無事安着。
視察団に合流。
翌日は視察までの間時間がが有るとのことで、名門大学、トリニティー・カレッジの見学
この大学は400年以上前に創立された由緒ある大学で、図書館が有名です。
それが、こちら。
圧巻でした。
圧倒されるとはこのことか。
古の人は、このはしごを使い、書を探し、研究に没頭していたんだと。
得られる情報の重みが今とは違う。
さて、視察も終え翌日は僕は単独行動。ダブリン市内を流れるリフィー川。ここには大小さまざまな橋が架かっているのです。ぜひ近くで見てみたい。という訳。
中にはあの有名な建築家の橋も

サミュエルバケット橋、カラトラバ設計の斜張橋で構造を見る限りなんか回転しそう。周囲には仮設用のピアもあるし橋脚もヒンジっぽい(次の写真手前左側)
乗っていたタクシーの運転手に、あの橋は大きな船を通すために回転するんだろ?と聞くも、回転したところは見たことがないよ。そんな事はしないと思うよとの答え。



後で調べたら、やっぱり回転できる事が分かりました。
船舶の往来量が少なかったから、頻度は少ないんだろう。
ケーブルと桁の接合部で、ピン接合にして偏心曲げを小さくしているところなど、さすがです(上の写真)。
リフィー川にはその他、垣根のラチスのようなトラス鉄道橋(ループライン橋:1891年竣工)や
ロンドンのミレニアムブリッジにちょっと似ているこんな橋(ショーンオケーシー橋)も

歴史はあるとはいえ、ループライン鉄道橋、存在感の大きさから何度か議論の的になっているようです。
ショーンオケーシー橋は、床がアルミでできていて、軽くすることであの構造を実現しています。また、ロンドンのミレニアムブリッジのようにケーブルを沢山低ライズで使うという事ではなくて、橋の両端から1/4のところに設置した橋脚からそれぞれ片持ちにすることで、シンプルで合理的な構造にしています。
歩いても嫌な振動は感じませんでした。
ところで、ダブリン、人々は陽気で話し出すと止まらない。
タクシーの運転手も日本から来たって話すとトヨタ最高!素晴らしい。最近このプリウス買ったんだけど、これを見てくれ、っていちいち機能を説明してくれる。
領収書頂戴って頼むと、缶の中にためてあった印刷済みのレシートを出して、料金より少し高いやつあげるよだって。
翌日、ダブリン空港からスコットランド最大の都市グラスゴーへ空路。
空からアイルランドを眺めながら、北アイルランド出身の友人の事を思い出し、イギリスがEUから離脱した後の彼らはどうなるのだろう。争いごとだけは起こってほしくないなと。
北アイルランド出身の友人、自らをアイリッシュイングリッシュと言い、EU離脱に関しても反対だけど平然を装っている。ランチは毎日リンゴで、早口でジョークが分かりずらいという面白い人です。
グラスゴーといえば、マッキントッシュ。
椅子がとくに有名ですよね。
グラスゴーも川の町。クライド川が東西に流れ、イギリス北西部のクライド湾にそそぎます。
そのクライド川のほとりに立つのが、リバーサイドミュージアム3年前に急逝したザハ・ハディド氏の作品です。
何でこんな形をしているのだろうか。
ザハのウェブサイトには、こう説明が記されています。
The museum, a sectional extrusion open at both ends, its outline encapsulating a wave or pleat, flows from city to waterfront, symbolizing dynamic relationship between Glasgow and the ship-building, seafaring and industrial legacy of the river Clyde. Clear glass facades allow light to floor through the main exhibition space.
意訳ですが
リバーサイドとランドサイドの両面に建物の断面を押し出し波やプリーツを凝縮したその形状は都市から水辺へと流れ、グラスゴウと造船や海運施設等、クライド川流域の産業遺産の関係をダイナミックにシンボル化した博物館です。透明ガラスのファサードにより、メイン展示スペースを通り床に光が差し込みます。
このように書かれているだけで、なぜ、この形なの?波やプリーツというけど、何で尖ったところやギザギザなところが有るの?
疑問は沸きます。
下の写真、右側の遠景に注目ください。
教会や海運倉庫群の屋根のライン。
これなんだと思います。
この形状こそが、クライド川の産業遺産をシンボル化したものなのです。
案外、現実にある形を建築化したのだとびっくりしました。
さて、内部は?



交通博物館です。
展示されているものも大きなものが多いです。
でも、柱とか無いのです。
それこそ、波やプリーツをそのままぐるぐる回しながら、生麺のように押し出しています。
ザハハディドオフィスのおっしゃる通りの建物なのです。
どういう風に構造を成立させているかは、おそらく中央のループのコアと外壁を結んでいるんだろうくらいしか分かりません。
すごい構造だと思います。
内装は、岩綿吸音板を黄色くペイントしておしまい、というシンプルさ。
それを逆手にとってサインデザインはこんな感じに。
かわいい!
僕は、ザハさんって、夢とか呪術とかで建築を作っているのではないかと思っていたのだけど、きちんとコンセプトを立てて、コンセプトが示す通りの建築を妥協することなく作っていた人なんだと考えなおしました。
今回のアイルランド・ダブリンVSスコットランド・グラスゴウの建築対決いかがだったでしょうか。
飲み物ではアイルランド・ギネスビールVSスコットランド・ウィスキー対決でしょうか。
今年のラグビーワールドカップ、日本には両方に勝ってもらいたいものです。
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2/15追記
アイキャッチ画像ネタバレになりますが変更しました。

