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梓設計在籍時の作品から

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つくばみらい市立陽光台小学校

つくばみらい市立陽光台小学校は、「日本一の小学校を」という想いから、ハーフオープンスクールという新しい形態の小学校を木+RC平面混構造により具現化した小学校です。
ハーフオープンスクールとは、中廊下式の教室配置で、向かい合う教室同士の壁を互い違いに配置することで、光と風は通し、視線と音は遮ることにより、オープンスクールの自由度とクローズドスクールの集中性を両立させたレイアウトです。
クラスルームやメディアセンターは、コストパフォーマンスに優れる、欧州赤松の中断面集成材を構造材とした木造。これらを繋ぐトイレや階段などのコア機能の部分はRC造としました。
木造部分はそれぞれの大きさを1000㎡以下とし、耐火上、避難上有効なRC造で区切ることにより、耐火上その他の建築物とし、燃え代設計が不要なものとして取り扱いました。構造設計では、建物全体の地震力はRC部分で負担させ、木の部分は鉛直力を支える計画です。この計画を採用するに当たり、木造床面が確実にRCに地震力を伝達できるよう、解析、ディテールの検証を徹底しました。

意匠担当者から最初に言われたことは、木とRCの混合構造だから、RC部分の柱は出来るだけ小さくしてほしいという事です。とはいえ、木造の柱は240×240です。このスケールはさすがに無理です。
東京工業大学緑が丘6号館で検討した事例を元に、400×400を基本に、外柱となる部分は600×400,600×600といった断面でRC部分を設計しました。
このプロジェクトの主要テーマの一つは、工事工程をどのように短縮できる構造とするかという事でした。つくばみらい市は、つくばエクスプレスの開業により急速にベッドタウン化し、就学児童数の伸びが著しい地域です。その中で、平面規模が大きく木とRCの混合構造という、複数の工事種目が有る建物。地震力をRCが負担していることからも、RC部分を先に施工して、後から木をRCに接合させる必要があります。工期縮減を目的として、木部分の基礎は、マットスラブとすることにより掘削量とRCの打ち継ぎ回数、型枠面積を減らす計画とし、後工事となる木部分のクリティカルパスを短縮しました。その他、発注工程を市側に提案するなどし、予定通り2015年4月、無事開校しました。

体育館は、RC造の上部に木の張弦梁を架ける計画としています。合理性という観点だけで考えると鉄骨屋根とする所ですが、小学校全体としてのバランスを考えた場合、木屋根という選択となりました。
木の張弦梁とするからには、ディテールをしっかりまとめようと、金物も少し凝った特注品としています。

このプロジェクトは、熱い意匠担当者と私の下で努力した若き構造設計者の熱意と努力で成し遂げたものです。私の役割は全体のディスカッションやテーマスタディで方向性を定め、どういう工夫をすればゴールにたどり着けるかを見極めることでした。チームとして結果を残せた良い例だと思っています。

写真提供:株式会社梓設計

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梓・岡野建築設計共同企業体(基本設計・校舎実施設計)
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