WORKS

梓設計在籍時の作品から

画像をクリックすると詳細を表示します。
よろしければ、SNSリンクお願いします。

東京工業大学緑が丘6号館

緑が丘6号館は、東京工業大学大岡山キャンパス・緑が丘エリアに建つ研究棟.化学系研究のための施設です。最先端の研究にも対応できるように高機能の設備が求められるため、設備の更新や維持管理を容易にできるよう、機械室ゾーン、予備シャフトスペースを豊富に設けた施設となっています。
デザインアーキテクトは、東京工業大学奥山信一教授(意匠)と竹内徹教授(構造デザイン)。

思い出すのは、最初の会議の場面。
奥山先生と竹内先生が市松壁の合理性、デザイン的優位性を語りました。
奥山先生は、約4mグリッドの市松壁グリッドの柱、梁の見付は400にしたいと熱く語られていました。
竹内先生はクールに、理論的には合理的な構造だし、400は難しいかもしれないけど、そんなには大きくならないのでは?と話されています。

二人の大先生を前に、「はぁ。何とか検討してみます。」と答えるのが精一杯でした。

僕が考えた問題点は3つ。
1 最上階や梁の端部で鉄筋の定着は確保できるのか。
2 市松壁の交点、パネルゾーンが安全なのか。
3 結構スパンが飛んでいる室内側の梁の応力を外周柱に接続すると、外周柱がクリティカルになり、柱の見付けが大きくなるのではないか。

ざっと計算してみると、定着の問題は、コンクリート強度を高くして細径の鉄筋を使い、更に、定着版という金具を使えば何とかなる。次のパネルゾーンの問題も、配筋を工夫すれば、柱も梁も400x400の断面で安全性が確保できる事を確認しました。
最大の問題は、3のスパン方向の梁反力の問題。
それと、損傷制御設計の大家、竹内先生の名前を汚さないように、損傷制御の考え方も取り入れたいとも思いました。

何かないかなぁ、等と竹内研究室のホームページを見ていると、先生が手掛けた芝生広場を挟んで正面の建物、緑が丘1号館レトロフィットが目に留まりました。1966年設計の鉄筋コンクリート建物の外周に、制震アンボンドブレースで耐震補強し、更に日射抑制ルーバーを設け、耐震性・意匠性の向上と環境負荷の低減を総合的にレトロフィットしたプロジェクトです。この考え方を6号館にも取り入れるのが良いのでは?と思いました。
床や、屋根を支える一般的に言う架構=モーメントフレームの外側に、市松壁を含むフレームを分離して取り付ける。地震の時は外側の市松壁フレームが地震に抵抗し、市松壁の損傷限界を超えて市松壁フレームに損傷が発生しても、屋根や床は内側のモーメントフレームで支えているので冗長性が高い建物になる「ダブルフレーム構造」を提案しました。
想像していた以上に、奥山先生にも竹内先生にも喜んでいただき、竹内先生からは、ダブルフレームの間のスペースは、設備スペースとして利用できるようにしたら良いのではないか、等の更なるアイデアをいただきました。
竹内先生のもとにいた、松井良太准教授(現・北海道大学)がガラスの庇を設計。象徴的な鉄骨階段は、奥山先生の考え方をできるだけ実現できるよう、松井先生と接合部の調整などをしながら設計しました。

思い出深いプロジェクトのひとつです。

よろしければ、トップページも覗いてみてください。

TOP PAGE

CATEGORIES

EDUCATION, SEISMIC CONTROLED

DESIGN

デザインアーキテクト 奥山信一教授、竹内徹教授
建築・構造設計 株式会社梓設計
電気・設備設計 総合設備コンサルタント

MEDIA

新建築  2014年1月号
建築技術 2014年3月号(表紙とも)

WEBSITE

東京工業大学 奥山信一研究室 http://www.enveng.titech.ac.jp/okuyama/
東京工業大学 竹内徹研究室  http://www.arch.titech.ac.jp/Takeuti_Lab/index.html