ほっとアリーナ妙高高原
ある日、建築担当者に呼ばれ、妙高山をシルエットにした、この屋根形状を作れるか?と聞かれたとき、正直、豪雪地帯だし、難しいのではないかと思いました。
図面を前に、「ウーン」と30分。
建築担当は、私の顔から視線をずらしません。
もしかしたら。と思い、斜め方向に梁を架けてみました。
最後、一番高いところをどう支えるかだけだ、斜めに切れ上がる部分にきちんと梁を通して、スカート状になった部分で三角形の架構を組めば、スラストも抑えられるし、何とか行くのではないか、とのアイデアが浮かびました。
当時、駒沢公園屋内球技場の設計が佳境にあり、そのアーチは、四隅から立ちあげる必要が有ると、結論を得たのと同時期の事でした。
大スパンの力は、四隅に集めるべし。これが、当時会得した鉄則です。当然、ケースバイケースではあるのですが。
斜め格子梁にして、下部のRCにも鉄骨を入れて(SRC)、なおかつ、四隅のコーナー部分を耐震壁にすれば、四隅に集まった力も処理できるので、こうすれば、すっきりと体育館が出来るのではないかと思いました。
通常、この規模の体育館であれば、トラス梁にするのが一般的だとは思うのですが、屋根の形状を利用したり、構造上の工夫をすれば、すっきりと単材でまとめることができます。しかも、この体育館の設計積雪深は3mです。
施工は結構大変でした。
部材は全て現場溶接としていましたが、それにより部材の誤差が出る。外周のスカートの施工で、柱の立ちにも誤差が出てくる。後から入れる鉄骨は、なかなかセットしずらくなる、など、トラブル一歩手前の状態でしたが、現場の皆さんが非常に努力していただき、このシンプル(に見える)体育館が完成しました。
この体育館の構造設計者として残念なところは、一番見せたい部分の構造が、逆光で見えない!
というところです。
それ以外は構造的にもきれいにできたと胸を張れる作品です。
写真提供 株式会社梓設計
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CATEGORIES
DESIGN
株式会社 梓設計
LOCATION
新潟県妙高市
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