駒沢オリンピック記念公園屋内球技場
駒沢公園に新しく出来たアーチの体育館。
世田谷や目黒の方達にはかなり知名度が高いと実感しています。
この体育館は、プロポーザルで受注しました。
アーチにすることもプロポーザルで提案した事です。
幾度目かのプロポーザル会議。意匠担当者たちがコンセプトを持ち寄りました。敷地の緑化率の関係から、屋上緑化は必須です。動物の住むような森にしよう、とか、木をたくさん植えよう等の案が出ていました。構造担当としては、体育館でもあるしあまり重くしたくないというのが本音。会議もなかなか決定打が出ず。
意匠のチーフが敷地の特性や歴史を再度確認します。東洋の魔女達が1964年の東京オリンピックでバレーボールの金メダルを取った体育館の建て替えプロジェクトであること。駒沢公園の主要部から駒沢通りを挟んだ飛び地にあるという条件、オリンピックの記憶を残す場所。その会議は、オリンピック2020の開催地が東京になるかどうかが決まる数日前の事でした。
「架け橋→アーチ」というキーワードが、その場にいた多くの人にほぼ同時に浮かびました。
1964年と2020年、東京オリンピックの架け橋。飛び地に立つ体育館に対して、シンボルとなるアーチを架ける。こうしてこのプロジェクトはスタートしました。
いざ設計に入ると、アーチのかけ方が難しい。最初は、駒沢通りに並行して2列のアーチを架け、アーチとは直交方向に架けた屋根梁を吊る計画としていました。しかし、アーチの反力が処理できない。アーチを建物下部まで伸ばすことが出来たら可能かもしれませんが、敷地の関係でアーチは屋根レベルで止めなくてはならない。デザイン的にも買い物かごのようになって、どうも「取っ手」のような構造になってしまう。
やはり、アーチは四隅から立てる必要がある。しかし、たすき掛けにしてもピンとこない。建築にならない。
座屈解析をやってみると、アーチ下部1/2の高さまでは座屈補剛が不要だが、上部半分の高さは細かく補剛しなくてはならない結果に。
そこで、隅から立ち上げたアーチを少し傾けて、それを座屈補剛が必要な高さでそれぞれのアーチを繋ぐ計画とした。その後、つなぎ方の調整をしたり、アーチの形状を応力が小さくなるような形状に調整して現計画のベースが出来ました。
アーチによる吊り屋根とすることで、屋根をトラスではなく単材とすることが出来ました。これにより、外壁面積が減り、コストが低減できたばかりではなく、ヒューマンスケールな高さの体育館になったと思っています。
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CATEGORIES
DESIGN
株式会社梓設計
MEDIA
建築技術2018年1月号
WEBSITE
LOCATION
東京都世田谷区














